空は、淡い灰色に煙っていた。
地平線の向こう、遠い都市の残骸が、陽炎のようにゆらいでいる。
この世界では、経済も、環境も、社会も、 すべてが「3」というかろうじて保たれた均衡にあった。
それは、始まりに過ぎなかった。
誰もがそれを、どこかで感じていた。
けれど、どこまで行けば「豊か」と言えるのか、誰にも教えられてはいなかった。
ある数値がひとつの目安だということを、それとなく知っている者もいた。
だが、それがすべてではなかった。
この世界で、何を持って満足とするかは、ただ、自分自身で決めるしかなかった。