種を蒔くように─この可能性の世界で─
- P-Lab. Admin
- 4月28日
- 読了時間: 2分
更新日:5月8日
空は、淡い灰色に煙っていた。
地平線の向こう、遠い都市の残骸が、陽炎のようにゆらいでいる。
この世界では、経済も、環境も、社会も、 すべてが「3」というかろうじて保たれた均衡にあった。
それは、始まりに過ぎなかった。
誰もがそれを、どこかで感じていた。
けれど、どこまで行けば「豊か」と言えるのか、誰にも教えられてはいなかった。
ある数値がひとつの目安だということを、それとなく知っている者もいた。
だが、それがすべてではなかった。
この世界で、何を持って満足とするかは、ただ、自分自身で決めるしかなかった。

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六人がいた。それぞれが違う場所から、違う理由を抱えて、ここに辿り着いた。
サクラ
明るく、まっすぐな者。彼女は、世界に緑を取り戻したいと願っていた。
ウメ
声を持たず、言葉を文字に託す者。そのメッセージは、静かに、しかし力強く仲間に届いていた。
モモ
あたたかく、ひたむきに生きる者。自由な時間を求め、静かに歩みを始めていた。
ヤナギ
柔らかく、しかし折れない意志を持つ者。彼女の瞳は、静かに富の先を見据えていた。
カツラ
冷静に、しかし穏やかに周囲を見渡す者。財を築きながら、世界の流れを読もうとしていた。
コブシ
力強く、現実を受け止めながらも、理想を信じる者。人々の可能性を広げたいと願っていた。
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彼らはそれぞれ、目指すべき「豊かさ」を、自らに問うていた。
誰もが違った答えを持っていた。
誰もが正しかった。
そして、静かに、確かに、物語は動き始めた。
※ この物語は、実際に4月のポッシブルワールド・ディスカバリーセッションで起きた世界の記録を元に作られたフィクションです