スコアボードの向こう側:シドニー大学の未来のリーダーたちから学ぶこと
- P-Lab. Admin
- 10月8日
- 読了時間: 5分

先日、シドニー大学ビジネススクールの学生約30名と、3時間にわたるセッションを共にしました。まず驚いたのは、その多様性です。文化も年齢も個性も異なる人々が混在していました。積極的に発言する人もいれば、鋭い洞察力を持つ静かな観察者もいる。そこは、まるで未来の役員会議室や世界サミットを凝縮したかのようでした。
私の役割は、何かを教えることではありません。限られた時間と資源、そして無限の可能性を秘めた現実世界のシミュレーションへと彼らを誘い、その場を見守ることでした。
問いから始まる未来のリーダーシップの探求
シミュレーションが始まると、おなじみの質問が飛び交いました。
「私たちはお互いに競争しているのですか?」
「リソースを交換してもいいですか?」
「正しい目標とは何でしょうか?」
私の唯一の答えは、いつもと同じです。
「それは、あなた次第です」。
この反応に、彼らは最初、戸惑っているようでした。私たちは日頃、明確なルールや勝利への道筋に従うことに慣れ親しんでいるからです。しかし、セッションが進むにつれて、彼らは深遠な真実に気づき始めました。
現実の世界と同じなのだと。
たった一つの正解や、万人に通用する戦略などなく、ルールは自分たちで作り出すものなのだと。

小さな勇気の力
セッション中、小さな変化のさざ波が大きな波へと変わっていくのを目の当たりにしました。当初は、チーム内の交流しかありませんでした。しかし、一人の学生が立ち上がり、部屋を横切り、別のグループに話しかけ始めたのです。まるで静かな水面に落ちた一滴の水のように、このシンプルな行動が静かな波紋を広げ、やがて部屋全体が活発なアイデア交換と協力を始めました。

このシミュレーションではよくあることですが、チームは当初、環境と社会の面で苦労しながらも、経済発展に重点を置きました。

それでも、会話は次第に「誰がゴール達成できるか」という話から、「集団としてのビジョン」へと移っていきます。
「人間賛歌の伝道師は誰のゴール?」
「良いプロジェクトには時間を捧げます、声かけて」
といった声が聞こえ始めたのです。
そして、決定的な瞬間が訪れました。次のラウンドが始まる前に、一人の学生が教室の前に立ち、全員が進捗状況を把握できる方法を提案したのです。彼は命令するのではなく、全員にとって有益だと信じる解決策を提示したのです。クラスの反応としては、多少の躊躇や異なる意見もありましたが、彼は謙虚に耳を傾け、グループは最終的にその提案を受け入れました。私とって、これは協働を通じたリーダーシップの重要性を示していました。アイデアを提供し、他者に耳を傾け、たとえ全員が熱心でなくてもブレずにそこにいること。この勇気こそが、より明るい未来のための小さな第一歩なのです。

スコアボードの向こうにあるもの
シミュレーションが終わりに近づくにつれ、現実の壁にも突き当たります。懸命に努力したにもかかわらず、数値目標を達成できなかったチームもありました。プレイ中、かれれは確かに協力を依頼するため、声をあげていました。でも、その声は、他のチームの活発なやり取りにかき消されてしまいました。これは、現実の世界でもすべての声が聞き届けられるわけではなく、すべての目標が達成されるわけでもないという、強い教訓となりました。
最も印象に残っているのは、誰がゲームに「勝った」かではなく、皆がどのようにプレイするがを選んだことでした。最も心に響いたのは、個人の功績ではなく、小さくも勇気ある協力の行為であり、個人の目標を超え、より良い世界を共に築くために話し合う意欲でした。


その日、そこにいたのはただのMBAの学生でなく、確かに未来の世界のリーダーたちでした。彼らがあの部屋で経験した課題と達成感――限られた資源、コミュニケーションの途絶、そして集団行動の力――は、まさに彼らが現実の世界で直面するであろうものと同じなのです。このシミュレーションの究極の教訓はスコアボードに現れたものではなく、その部屋で交わされた会話と決断の中にあったと思います。私たちの最大の成果は、単に数字を達成することではなく、私たちが共に築こうと選んだ世界にあるということを、力強く思い出させてくれました。

目に見えるスコアボードの向こう側にある、あなたにとって本当に大切なものは何ですか?
🌏 P-Labの使命は、人々が受動的な傍観者から主体性を持った主体へと成長し、影響力のある行動を起こせるようにすることです。この経験をあなたの組織に取り入れたい方は、ぜひP-Labにご連絡ください。



