【麻の葉文様に学ぶ】「引力」に頼らないリーダーの在り方:自立と共鳴を生む「誘うリーダーシップ」
- Aya Matsuyama
- 11月10日
- 読了時間: 4分
先日、非常に刺激的な会議に参加する機会がありました。それは、ある国際的なムーブメントの中心を担う方々が集う場でした。
その空間には、純粋な「熱意」が満ち溢れていました。創始者への深い尊敬、そのビジョンへの共感、そして世界をより良くしたいと本気で願う皆さんの情熱は、確かに本物でした。そのエネルギーは、何かを始めようとする強い意欲を抱かせる力に満ちていました。
でも、その熱気の中にいたからこそ、ふと立ち止まって考えさせられることがありました。それは、他者への深い敬意を土台に置いたリーダーシップの在り方とは何か、という問いです。
1. 強すぎる「引力」が生む隔たり:影響力と感化の光と影
リーダーシップのタイプを考えるとき、影響を与える(Influential)と感化する(Inspiring)といった言葉が思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。
影響を与える(Influential):力強いビジョンとロジックで組織を強く導き、ゴールへと向かわせるタイプ。
感化する(Inspiring):熱意と夢を共有し、外から働きかけて人々の内なる動機を引き出すタイプ。
どちらも、ムーブメントやプロジェクトを推進するために不可欠な、強力なエネルギーです。
ただ、この「強さ」や「正しさ」は時に、意図しないある種の強制力を生み出してしまうのではないか? 会議の場で感じたのは、まさにそれでした。揺るぎない確信はムーブメントの原動力ですが、その「強さ」と「正しさ」は時として、排他的になりやすい性質があると私は感じています。結果として、異論が述べづらかったり、自分の熱量が他と少し異なると疎外感を感じてしまったりするような空気が生まれることがあるのです。
その強さが故に、別の意見や異なる熱量を持つ人々を、意図せずとも遠ざけてしまう――そんな無意識の「壁」を、私はあの場でわずかに感じ取ったのだと思います。
2. リーダーの在り方:「麻の葉文様」にみる誘うリーダーシップ
今、私がもっとも心惹かれるリーダーの在り方は、迷うことなく「誘うリーダーシップ」です。これは、相手とその可能性に対する深い敬意がなければ成り立ちません。私の信念はシンプルです。
「誰もが唯一無二の、内なる可能性を持って生まれてきている」ということ。
その可能性は、外からの「強い力」や「一方的な正しさ」で開くものではありません。
だからこそ、私は「影響力で動かす」のでも、「外から感化する」のでもなく、「自分の内側に働きかけ、心を開いて誘う」というアプローチを信じてみたい、と思うのです。「誘うリーダー」とは、「自分の信じる道をただ静かに体現し、その在り方が自然に周りに染み渡るようその扉を開けておく」姿勢です。
この「誘う(Invite)」ことで広がる人々の関係性を、私は麻の葉文様に重ねて見ています。
【麻の葉文様が表す「誘うリーダー」の精神】
根幹にある精神は、誰もがそれぞれ独自の可能性を持って生まれてきているということです。リーダーは、自らその可能性を体現する例となり、それに触発された人々が、リーダーの色に染まるのではなく、それぞれが自分の可能性に気づき、それを生きることを誘います。時にそのリーダーの色は個々の可能性と重なることもあるかもしれません。しかし、一緒であることが目的ではないのです。そして、それぞれは完全に独立しているのではなく、自分の軸を生きつつ、他者とも密接に関わり続けるという状態。これを表しているのが麻の葉文様だと思うのです。
この精神に基づき、「誘うリーダー」は、参加者一人ひとりが、それぞれ独自の「輝く中心」(=唯一無二の可能性)を持っていると信じます。そして、個々の中心が無理な力で一つにまとめられたり、同じ色に染まったりするのではなく、そのままで「四方八方に開いて繋がり、共鳴している」ような関係性を目指します。
相手の可能性と自由な選択を全面的に信頼し、
「もしよければ、この扉をくぐって、あなたの可能性も今ここで花開かせてみませんか?」
と、静かに声をかける。敬意を土台に、選択の自由を重んじる。これが、私が探求したい道です。

綺麗ごと、という人もいるでしょう。
静かに扉を開けて待ってるだけでは間に合わない、と思われる人もいるでしょう。
でも、この世界に、実は正解はないんです。
どんな世界も、私たちの意識と行動次第
最後に、あなたへの問いかけ
私自身もまだ探求中です。あなたが今、仕事やコミュニティの中で人々を動かすとき、無意識に使っている「タイプ」は、どちらに近いでしょうか?
A) 影響を与える(Influence): 強く導き、ゴールへと向かわせる。
B) 感化する(Inspire): 熱意とビジョンで、外から働きかけて内なる動機を引き出す。
C) 誘う(Invite): 自分の在り方を体現し、相手の自発的な参加と選択を待つ。
もしよければ、あなたが「誘う(Invite)」姿勢を試すとしたら、どんな一歩を踏み出しますか?あなたの「誘うリーダー」としての視点を聞かせていただけたら、私自身の探求の大きなヒントになります。コメントをお待ちしています。



