top of page

競争から共創へ──マーケティングのパラダイムシフト

個性・曖昧さ・余白・問い
個性・曖昧さ・余白・問い

近年、マーケティングの世界において「共創(co-creation)」という言葉が注目されています。

かつては「競争に勝つ」「ターゲットを攻略する」といった戦略思考が主流でしたが、いま求められているのは、顧客とともに価値を育てていく視点です。


ポッシブルワールドラジオのとある回では、コミュニケーションデザイナーの坂本宗隆さんが、まさにこの「共創的マーケティング」の実践について語っています。

本記事ではその内容をもとに、従来のマーケティングとの違いや、現代における新しいアプローチの可能性について紹介します。


「好き」の声から始めるマーケティング


坂本さんのアプローチの特徴は、ファンの“ポジティブな声”に耳を傾けること

従来のマーケティングやコンサルティングでは、課題や問題点の洗い出しを起点にすることが一般的ですが、坂本さんは「ここが好きなんです!」という熱のこもった声から、企業の本質的な価値を見つけ出していきます。


その声に基づき、「どんな施策を実施するのがよいか?」をクライアントと共に考えていく。

そこには、修正や改善ではなく、魅力の“深掘り”という発想があります。


ポジティブシャワーに浸かる時間


このプロセスは企業の担当者にも良い影響を与えています。

ファンの生の声に触れることで、「自分たちの仕事はちゃんと届いていたんだ」と気づかされ、自信や誇りを取り戻す時間になるのです。


「ポジティブシャワー」とも言えるこの体験は、データやレポートには表れにくい、人の心を動かす力を持っています。


「差別化」は本当に必要なのか?


マーケティングの基本フレームワークでは、「競合との差別化」が重要視されてきました。

しかし坂本さんは、そこに問いを投げかけます。

その“差別化”は、果たしてファンが求めているものなのでしょうか?

競合と同じ機能を持っていたとしても、ファンは“まったく別の理由”で繰り返し選んでいることがあります。

つまり、市場で勝つことよりも、なぜ好かれているのかを知ることこそが重要だといえます。


マーケティングの定義も変わり始めている


実は、マーケティングの定義自体も数十年ぶりに更新されました。

かつては「戦略」「ターゲット」「認知獲得」など、“戦い”のメタファーが多く使われてきました。

しかし現在は、「共に価値を創る存在との関係性構築」という方向に変化しています。


競争前提の“奪い合い”ではなく、ファンや関係者と共に価値を築く時代が始まっています。


共創がもたらす新たな可能性


製品やサービスの機能は、すでに一定水準を超えている時代です。

その中で選ばれる理由は、「スペック」ではなく“感情”や“共感”になりつつあります。


坂本さんの取り組みは、そうした「好き」という感情の力を戦略に組み込むことの大切さを教えてくれます。


共創とは、一時的なマーケティング手法ではなく、企業のあり方そのものを見直すきっかけになり得るものです。



「競争から共創へ」という視点の転換は、単なるトレンドではありません。

社会全体の価値観の変化に対応する、新たなマーケティングのかたちです。


顧客を「攻略対象」としてではなく、「共に未来を創る存在」として捉える。

そんなパラダイムシフトが、企業と社会の可能性をもっと広げてくれるかもしれません。



Mask group

ポッシブルワールドを体験

bottom of page