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種を蒔くように─この可能性の世界で─第3章 つながる根

更新日:5月7日

日々は、静かに流れていった。


世界は、まだ不安定だった。

 経済も、環境も、社会も、 完璧とはほど遠かった。


それでも──

人々は、少しずつ変わり始めていた。


歩み続ける6人

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サクラが、小さな苗木を育てていたとき、 足りない緑の石を手にするために、 そっと手を差し伸べた者がいた。


ウメだった。


彼は、自分が持っていた青い石を一つ、サクラに渡した。

直接の役には立たないかもしれない。

それでも、誰かを助けることが、巡り巡って世界を育てると信じていた。


サクラは、その温かさを胸に抱き、 最後の一粒の種を蒔いた。


**


モモが、静かに時間を集めていたとき、 彼女に余った時間を分けたのは、コブシだった。


彼は、自分のゴールとは違うものを抱えるモモに、 迷わず、自分の時間を差し出した。


「持っていけ。」 それだけ言って、彼はまた図書館へ戻っていった。


モモは、差し出された時間を両手で受け取り、小さく頷いた。


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ヤナギは、必要な資源を探しながら、 カツラとそっとやりとりを重ねた。


どちらも、富を築こうとしていた。 けれど、競い合うのではなく、お互いに欠けた部分を補い合うように。


カツラが渡したわずかな資源が、ヤナギにとっては最後のピースだった。


そして、ヤナギもまた、カツラに必要な情報を静かに返していた。


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ウメは、 自分が集めた青い石を、必要としている仲間たちに惜しみなく分け与えた。


一つ、また一つ。


その行動の果てに、気づけば自分にも、十の青い石が集まっていた。

彼は、誰かに与えるたびに、 自分自身が豊かになっていることを感じていた。


**


コブシは、最後の黄色い石を、 知らない誰かから受け取った。


その小さな石には、何も書かれていなかった。


ただ、 「次へ繋いでくれ」という静かな願いだけが宿っていた。


彼はそれを胸にしまい、 また歩き出した。


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こうして、六人は、それぞれのゴールに手を伸ばした。


一人では成し得なかったことも、 誰かの手を借りて、誰かに手を差し伸べながら、少しずつ、たどり着いた。




※ この物語は、実際に4月のポッシブルワールド・ディスカバリーセッションで起きた世界の記録を元に作られたフィクションです

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