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不確実な世界とグリーン・スノーボールの軌跡:ポッシブルワールドが映し出した私たちの可能性(後編)

  • 1 日前
  • 読了時間: 5分

午前中の日本語セッションで「思考の枠」をほどき、温かなオファー&レシーブの循環を体感し、そのまま午後、もう一つの「ポッシブルワールド」の扉を開いた。


参加者はそれぞれの生き方と想いを持ち寄り、シンガポール、ブルネイ、台湾、オーストラリア、そして日本、の5か国をつないで、起こり得るもう一つの世界を立ち上げた。午後の英語セッションには、日本語セッションとはまた異なる、グローバルな構造と個人の葛藤が交差する深い人間模様があった。



9人のオンライン会議画面。参加者がカメラ越しに映り、笑顔や真顔で参加。竹林、宇宙、木などの背景が見える。
5か国の多様なメンバーが画面越しに集う熱量が、この一瞬に切り取られている


時間が見えない世界と、個人の「過集中」


英語のセッションでは、現実の人生同様「世界がいつ終わるのかわからない状態」を模して、タイマーを一時停止したままでのプレイとなった。「時間のプレッシャーがなくて良い」とホッとする者もいれば、「いつ終わるかわからない不安」に駆られる者もいる。事実はただ「タイマーが止まっている」というだけだが、それをどう受け止めるかは、一人ひとりのマインドセット次第だ。  


終わりの見えない不確実な世界のなかで、参加者たちの「心の癖」が自然と浮かび上がる。


自分のプロジェクトを完了させることだけに没頭し、他者のニーズや助けを求める声にまったく気づけなかった参加者は、自身の過剰な集中を深く振り返り、「次機会があれば周囲のニーズにより目を向けるという可能性を探求したい」と語った。  


また、十分な資金を集めながらも終了間際までそれを使わず、結果として他者を支援する機会を逃してしまった参加者は、「計算されたリスクとタイミングによる戦略だった」と振り返る。しかし、その意図が周囲に共有されていなかったため、端から見ればただ富を蓄積しているだけに見えてしまうというリスクを体験することとなった。  


そして、環境や社会のパラメーターが実行条件を満たさず、「誰かがやってくれるのを待つ」という無力感に陥る者もいた。この個人の立ちすくむ姿は、そのまま現実世界の停滞と重なって見えてくる。  




構造的課題としての「富の偏り」と、

意識が世界を動かす「グリーン・スノーボール」


ゲームが進むにつれ、経済のパラメーターだけが「22」へと突出して成長し、環境や社会が共に「1」という危機的な状況に取り残されるという深刻な偏りが起きた。  


世界の状況メーターの画面。July、0:00、スタート表示があり、中央に薄い地球図、青い建物アイコンが並び、左に緑と黄の人型アイコンがある。
Round 1の世界

この状況に対し、ある参加者は強いフラストレーションを覚えたという。


「富める国がこれほど富を独占し、貧しい国が生き残るために環境や社会を犠牲にしなければならない状況だった」


そこには、現実世界の構造がそのままここに表れていると鋭い指摘があった。  


しかし、その停滞と分断を打ち破るきっかけが生まれた。人間の意識が行動を動かし、結果を劇的に変える——それが如実に現れたのが、参加者たちの対話から生まれた「グリーン・スノーボール」のダイナミクスだった。


振り返りの対話の中で、環境プロジェクトを進めるためには「資金を持つ人々と共に時間を過ごし、必要な条件や資金について啓蒙していこう」という提案がなされた。この協働によって


グリーン・スノーボール(緑の雪だるま式の影響)を起こそう」


という意識が参加者たちの間で共有され、環境へのベクトルが一気に方向づけられたのだ。


その結果、セカンドチャンスでは環境のメーターが面白いように伸びていった。言葉が意識を動かし、選択を変え、世界の状態を大きく塗り替えた瞬間だった。  


その一方で、環境に比べると対話の中で話題に上ってこなかった「社会」のメーターは、なかなか伸び悩むという現実もあった。すべてを同時に満たすことの難しさと、何に焦点を当てるかによって世界がその姿をガラリと変える事実が、そこにはっきりと示されていた。



「世界の状況メーター」と書かれた白い画面。右上にJuly、0:00 スタート。青いビル、緑の木、黄色い人型アイコンが並ぶ。
Round 2の世界



諦めないこと、そして別の伝え方を探すこと


今回のポッシブルワールドに現れたように、世界は、いろいろな人で溢れている。



足るを知って謙虚に生きている人。


役に立ちたい意図を持ちながら富を蓄えタイミングを待っている人。


「役に立ちますよ」と声を上げているのに、その声がまだ世界に届いていない状態の人。




こうした現状を踏まえると、今はまだ、確かに私たちが望むほどまだ豊かな世界ではないかもしれない。だが、「豊かな世界にしたい」という純粋な意図を持つ人が、そこに確かに居る。果実と同じで、実がなるまでには時間がかかることもある。


だからこそ、忘れてはいけない。

諦めないこと、そして小さくてもいい、歩みを止めないことこそが最も重要だということを。タイミングを待っている間にも何かできることはあるかもしれないし、もし声が小さくて届かないなら、別の方法で世界に語りかける道を探せばいい。



参加者の声

セッション後、参加者からはこんな声が届いた。


国境を越えた交流や対話からは、深い洞察が得られました。
資金提供者や投資家と、環境・社会問題の解決に取り組む人々との間には、さらなる橋渡しが必要であることに気づきました。
初めてこのゲームを体験してみて、経済的な成功を追求する人々と、環境や社会の安定を目指す人々との間にある大きな不均衡を痛感しました。その後、状況を救済するために数分間しか与えられなかったことは、私たちに残された時間が限られているという現実を示すと同時に、協力し合えばどれほど多くのことができるかを教えてくれました。
より持続可能な世界を創るという点において、世界中の人々が同じ思いや目標を共有しているのを知ることは素晴らしい体験でした。改善に向けた行動について皆のアイデアを聞けたことは、私たちが他に何ができるかをさらに深く考えるための大きな刺激になります。



日本語セッションの「放課後」に生まれた穏やかな調和も、英語セッションの仲間たちが対話で見出した「グリーン・スノーボール」の軌跡も、向かう先は同じである。


多様な背景を持つ人々が、それぞれの縁でこの場に集まり、気づきの土壌を一緒に耕してくれた。いろいろなところで躓き、諦めそうになってもそこに居続けてくれたこと。私の中にあるのは、その姿勢に対する深い感謝だ。



Every world is up to our mindset and action.

どの世界も例外なく、私たち一人ひとりのマインドセットと行動にかかっている。  



思考の枠をそっとほどき、オファーとレシーブの温かな循環を生きること。その小さな一歩の同時多発が、今日もこの世界を、そしてあらゆる世界を、少しずつ優しくシフトさせていく。








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