「Possible World」セッション 総合振り返りレポート〜輔仁大学におけるハイブリッド型セッションの記録と効果検証〜

1. セッションの目的
本セッションは、当初英語に自信を持てずにいるかもしれない学生に対し、以下の極めて重要な気づきと変容をもたらすことを明確な意図として設計・実施されました。
英語を「道具」として捉える意識: 英語を単に学習すべき「教科科目」ではなく、グローバルな課題について議論し他者とつながるための強力な道具(媒体)であると実感すること。
マインドセットと世界の変容の体得: シミュレーションを通じて、「自身の視点や選択によって、世界への関わり方や社会に与えるインパクト劇的に変えることができる」ということを、実感を伴って理解すること。
2. セッションの概要
日時・形式: 2026年10月 / ハイブリッド形式(キャンパス内の教室とオンライン参加者を接続)
規模: 教室内の約15〜16チームに加え、海外からのオンライン参加者(ファシリテーターおよびプレイヤー)が参加し、ゲームプラットフォーム上には合計19〜20のアバター(チーム)が展開されました。
共創・運営チーム: ホスト(松山亜弥、林 明日香)、現地サポート(アイリス/許 綺絜)、プレイヤーサポート(イブ、マーティン、スキップ)
接続した国・地域:台湾、オーストラリア、フィリピン、日本
3. スケジュールと時間管理の検証
総所要時間1時間50分(110分)で構成されたプログラムにおいて、計画と実際のタイムラインは綿密に設計されました。
導入と準備: 共創パートナーの紹介、およびMentimeterを用いたチェックイン(「現在の気持ち」の共有)。現地サポーターとの迅速な連携により、ゲームへのスムーズな移行が達成されました。
体験とシリアス・プレイ: 準備活動、チャットタスク、そしてシリアス・プレイ(#1)への探求セッションを段階的に進めました。
振り返りと次のステップ: 世界の状態レポートの共有、Mentimeterを通じた感情・マインドセット・マイクロアクションの言語化、宿題の案内を行い、予定通り無事に終了しました。
4. セッションのインパクトとデータ分析(学生の学習と影響)
提供されたデータとMentimeterの集計結果は、講師が意図したゴールである「道具としての英語の意識」と「マインドセットの変容を通じたインパクトの実感」が、学生たちの心の中で見事に開花したことを裏付けています。
「世界と自身の認識」における定量的向上
セッションの前後で実施された同一の質問「いま私たちはどこにいるか?(現在の世界観と個人的なインパクト)」のMentimeter集計結果(10段階評価)において、顕著なプラスの伸びが観測されました。
評価項目(10段階評価) | セッション前 | セッション後 | 変化・成長 |
世界に多くの可能性を見出す (I see a lot of Possibilities...) | 6.6点 | 7.2点 | +0.6点 増加 |
世界に実質的なインパクトをもたらしている (I feel I have a real impact...) | 5.8点 | 8.4点 | +2.6点 増加 (大きなマインドセットの移行) |
分析: シミュレーションを通じて、世界に対する無力感や閉塞感が和らぎ、主体性と効力感が開花しました。世界には多くの可能性があり、自身の行動が確かなインパクトをもたらすという実感が、数値上の大きな飛躍によって証明されています。
ラウンド間の推移
学生間の協働と対話が深まるにつれて、数値目標の達成率や「世界の状況メーター(World Condition Meter)」に劇的な改善が見られました。
比較項目 | ラウンド 1 | ラウンド 2 | 移行・達成状況 |
目標を達成したチーム | 4チーム (約21%) | 8チーム (約42%) | 達成率が倍増 (ピアサポートと協働の活性化) |
世界の状況メーター (経済/環境/社会) | 経済ブームのみ (18 / 7 / 0) | 全体最適の達成 (21 / 8 / 9) | 社会と環境が大幅に改善 (協働を通じた全体最適の具現化) |


感情の推移(心理的変化を示す絵文字データ)
セッション内の異なるタイミングで実施された2回の「絵文字で表す自分の気持ち」の投票比較から、学生の感情の劇的な進化が明らかになりました。
絵文字 | 1回目の感情 (ゲーム中盤) | 2回目の感情 (セッション後半) | 変化・成長 |
楽しい! (Happy!) | 9 | 9 | 変化なし |
満足 (Satisfied) | 5 | 10 | 2倍 |
もどかしい・不満 (Frustrated) | 3 | 0 | ゼロへ |
がっかり (Disappointed) | 7 | 1 | 激減 |
マインドセットの気づきから現実世界のマイクロアクションへ
振り返りの最中、学生たちは自身の認知の癖やフレーミングに気づき、「大局を見る(seeing the bigger picture)ことの必要性」「社会がより良くなるべきこと(society need better)」「正解を探すこと」「他者との協力」といった洞察を言葉にしました。
最終的な振り返りにおいて、学生たちは現実世界での社会進歩指数(SPI)の向上に結びつく具体的なマイクロアクションを主体的に提案しました。例として、「コミュニケーションにより多くの時間を割く」「人々ともっと交流する」「他者の目標を尋ねる、あるいは助けを求める」「カードやアイデアを交換する」「助けを必要としている人を手助けする」などが挙げられました。

5. 担当講師によるフィードバックと学生の自己省察の一致
セッション後に担当講師であるティナから寄せられたレポートおよび学生の個別省察課題の分析では、報告されたデータと学生自身の言葉が驚くほど一致していることが次のように指摘されている。
個人的インパクトの実感と世界観の変化: レポートで示された数値の跳ね上がり(5.8点から8.4点への飛躍)と同様に、学生たち自身も「世界的な課題は遠い存在や政府が扱うものだと思っていたが、日々の小さな選択が意味のある変化につながることに気づいた」と記述している。
「道具としての英語」の体得: 英語を脅威的な教科科目ではなく実用的なツールと捉える視点は、ほとんどすべての学生の課題レポートにも現れていた。完璧な文法やネイティブのアクセントではなく、声を上げ、積極的に聴き、要点を伝える勇気こそが重要であると実感している。
現実世界への接続とマイクロアクション: レポートが捉えた通り、学生たちの提出物には、マイコップの持参やプラスチック削減、不要品の共有、高齢家族へのスマートフォン・アプリ操作のサポートといった、デジタルデバイドを埋めるための具体的なマイクロアクションが綴られていた。
6. セッション後の展開と学びの深化(波及効果)
同講師とのフォローアップミーティングを通じて、本セッションが単発のイベントに留まらず、以降の授業や学生の意識に対して意味のある波及効果を生み出していることが確認されました。
日常生活や地域課題との接続: 学生たちはリフレクションの中で、シミュレーションを自身の日常の習慣(プラスチックの削減、キャンパス内のシェア冷蔵庫、高齢者の支援など)へと結びつけました。
学際的コラボレーションの認識: コンピューターサイエンスなどの技術系背景を持つ学生が、経営学系の学生とチームを組む価値を認識し、現実のプロジェクトさながらの学際的協働の必要性を実感しました。
英語コミュニケーションへの自信: 学生たちは、文法的な完璧さは必要なく、キーターム(「urgent」や具体的な数値など)を用いて効果的にアイデアを伝えることこそが重要であるという、実用的なコミュニケーション観を培いました。
授業内でのフォローアップ: 担当講師は、個々の学生の行動をデザイン思考や具体的な解決策・ツールへと架橋しながら、その後の授業に本セッションを積極的に活かしています。
7. 結論
当初は英語に対する高い自信を持てていなかったかもしれない学生たちにとって、本セッションは「英語を使って世界を動かす」ための極めて重要な舞台となりました。初期のハードルを乗り越え、「自身の視点や選択が、世界の状態(経済、環境、社会)を直接形作る」という気づきは、深い学びとなりました。
量的スコアの跳ね上がり(個人的インパクトの実感値が5.8点から8.4点へ飛躍)が物語る通り、本セッションは「自分の選択次第で世界には無限の可能性があり、自分にも確かなインパクトをもたらすことができる」という、真の主体性を育むことに成功した非常に価値あるセッションでありました。




